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進化するじぃじ 井上 英治
昨年の夏、孫が生れ“じぃじ”になった。子供の結婚が決まった時から周囲からは「じぃじ」「じぃじ」と冷やかさ れたが「まだまだ違う」と叫んでいた。孫が生まれた瞬間“じぃじ”という名詞を一方的に渡されたことになるが、 この名詞を持つのも満更でもないと感じ、親ばかならぬじじばかになった瞬間でもあった。

歳の話になるが、今年は48歳年男である。あとひと回りすると還暦を迎えるのかと思うと12年前とは何か違うちょっと複雑な気持ちになる。特に、ここ数年は人の名前が思い出せない、新聞の文字が見えにくい、階段よりエレベーターを使うなど老化現象が見え始めてからは、歳をとる=心身の衰えと思いが強くなり、還暦は坂を下った先の標識といったイメージになってしまう。48歳の“じぃじ”は年齢的には若いはずだが、それ以上に歳を取った錯覚に陥ってしまう。

私がこの病院に作業療法士として勤務してもうすぐ20年になる。入職と同じ時期に小学校のPTAでソフトボールを始め、そこで知り合った仲間とクラブチームを作り、今でも休みにはソフトボールを楽しんでいる。結成した当時のチームメイトの年齢は私と同じ位の年齢ばかりであったが、現在のチームは、私の息子も含め2世世代が多数入り、下は18歳から上は50うん歳まで幅広い年齢層で構成している。このチームが年々力をつけ、今年は区の大会で優勝して区の代表として大阪市の大会に出場し、また、大阪市で数チームが集まりリーグ戦を行っている中に参加できるまでになった。そんなチームの中で20代の若者に混じって48歳の“じぃじ”はレギュラーとして認めてもらっている。

たぶん準決勝か決勝の試合で若いチームメイトに声をかけられ、試合後も私の中にここちよい響きとして残っている言葉が「じぃじは進化するなぁ」である。レベルの高いチームと試合をして今まで経験したことのない球を投げるピッチャーとあたり三振する。でも、次はヒットを打ちたい、もっと接戦となるような試合をしたいと思う。その思いから進化が始まる。“若いもんに任せよう”“歳には勝てん”では退化してしまう。私がもらった“じぃじ”という名刺をもっと色々なところで胸を張って「進化する“じぃじ”です」と出したいものだ。