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40になってから毎年、年末に一度マラソンに出場するようになりました。長距離を走るのはむしろ苦手で嫌いだったのですが、あることがきっかけで30代後半から“一生に一度でいいから42.195kmを完走したい”と思うようになり、何も分からないままある大会に参加しました。初完走をかけて自分との孤独な闘いをするつもりで出かけて行ったのですが、実際にスタートをしてみるとすぐにそんな軽はずみな意志は一掃されることになりました。沿道には絶え間なく応援の人達が並び、全く見ず知らずの私にも声援を送ってくれます。バナナ、みかん、飴、チョコレート、黒砂糖といった思い思いの差し入れを用意して手渡してくれるたくさんの人達や激励に演奏をし続けているバンドのグループ、学校の前ではハイタッチの為に並んでいる部活の学生、終盤になると消炎のスプレーを手にした人達などが、正に最後の力を振り絞り完走を目指すボロボロのランナーを励ましてくれます。そして周りには勿論のこと全く同じただ一つの目標の為に集まり頑張っている人達・・・そんな大勢の人達に遇い、これまでの生活ではおよそ経験することが出来なかった物を味わいながらのゴールとなり、単なる達成感を超えた清々しい充実感を貰いました。それに味を占め、帰路に着く時には既に次の参加のことを考えており、気が付くと一年に一度のなくてはならない締めの行事になってしまいました。
ところで全力で走る短距離走とは違いマラソンには走る人それぞれに自分自身のペースがあります。大抵は「1kmをどの位で走るか」で考えるのですが、一流選手だと3分何秒、完走に5〜6時間もかかる私だと7〜8分ということになります。このペースを守るということは非常に大事なことで、身体が軽いといって本来のペースより速く走ってしまうと暫らくは快調でも必ず何処かで大幅にペースダウンしてしまいます。それならゆっくり走ったらいいかというと当然ながらそうではなく、良い記録も満足感も得られないことになります。“マイペース”という言葉があります。これまでは「無理をしない」というくらいに考えて、何か消極的で安っぽい印象の言葉でしたが、マラソンを走るようになり改めて“やり続けられる範囲でのベストを尽くす”という意味として好きな言葉の一つになりました。でも調子に乗って飛ばし過ぎて後からバテたり、時には歩いたり休んだりするような人生も悪くないでしょう。
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