精神科後期研修 よくあるご質問

精神科単科病院は担当する症例が多すぎて、少ない症例を丁寧に検討するような研修は難しいのではありませんか?

精神科単科病院の研修では、大学病院での研修と比べて受け持ちの患者さんの数や入れ替わりが多い傾向があるかもしれません。特に、精神科救急を精神科医療において欠かせないものであると考える当院では、様々な病態の患者さんを診ることが多いと思います。そのなかには、統合失調症の急性期はもちろん、身体合併症をもった認知症、薬物使用による精神障害や、自殺未遂をした後になんとか精神科医療につながった方もおられます。研修中の先生方は、このような様々な患者さんが次々と訪れることに不安を感じるかもしれません。しかし、当院には11名の指導医が在籍しております(さわ病院2016年9月現在)。ですから、研修中の先生がひとりで全て解決したり対処しなければならないことはありません。一方で、後期研修中の先生方が主治医として責任感をもってこのような様々な患者さんたちの診療にあたることが、精神科診療について多くのことを学んでいただくために役立つと考えています。指導医からアドバイスを受けたり、ディスカッションしたり、指導医が一緒に診察をしたり、必要ならば本人や家族への説明に同席しています。学会での症例発表も奨励しており、多くの症例を担当する一方で、細かく『こだわる』こともできる研修病院です。

精神科単科病院での研修は、大学病院での研修と比べてあまり学術的ではなさそうな印象があります。

当院は高知大学医学部精神科名誉教授の井上新平先生をお迎えして後期研修医をはじめとした医局員の指導を毎週お願いしております。精神科に関連した論文の抄読会や症例検討会のほか、研修医の診察への陪席(!)をお願いしてご指導いただくこともあります。また、当院では日本精神神経学会や日本精神科救急学会などへの参加も奨励しておりますし、学会発表についても指導医と一緒に準備することができます。国内外の精神科雑誌の最新号とバックナンバーをいつでも読むことができ、日常の臨床場面でも教科書や専門書、文献をもとにお互いが教え合ったり、議論したりしながら患者さんの診療を行っています。当院の、梅田まで約30分という立地を生かして、就業後に勉強会や講演会に出かけることもあります。勉強会や講演会では全国各地の大学や病院の著明な先生方が講師をされることが多いため、いろいろな研究や臨床の考え方について学んだり講師に質問することで学術的な視点を深めることに役立てているようです。

精神科単科病院で、身体合併症がある患者さんを診るのが心配です。

当院には、常勤・非常勤の内科医の先生がおられてコンサルテーションに応じてくれますし、また、精神科単科病院では対応しきれない身体合併症の治療のために、いくつかの総合病院と連携を密にしてお互い協力し合い、緊急時には互いに転院をお願いし合っていますので、身体合併症について心配しすぎる必要はありません。
当院は精神科単科病院ですが、24時間血液検査やCT検査が可能です。もちろん技師さんが検査を担当しますが、夜間や休日などは必要に応じて医師も検査を行います。大変なように思われるかもしれませんが、精神科病院だからこそ、患者さんの身体状態がなにかおかしいのでは?と思った時にすぐに検査ができるということは、実は心強いものです。精神科と身体科を完全に分けることはできません。精神科疾患をもつ患者さんが身体合併症をもつことは、精神科単科病院でも総合病院でも大学病院でもどこでも起こりえます。その時に、患者さんの身体に起こっている出来事を評価するための検査ができて、それをアセスメントして必要な医療機関に搬送を依頼すること、または院内で適切に治療することができることは、前期研修で各科を回って学んだ経験を生かすことができる有意義な研修の一場面ではないでしょうか。
また、高齢化社会を迎えて、どの精神科病院でも高齢の患者さんや認知症の患者さんを避けることが難しくなっている状況は、身体合併症を考える上で重要です。前期研修で学んだ身体疾患に関する知識や技術を生かして自分のものにしながら精神科研修をすることで、これからの、精神科医が身体合併症をもつ患者さんもある程度までは診ていかなければならない時代に対応するために、むしろ当院は有意義な研修ができる病院であると思います。

認知症の専門医を目指したいと考えています。

当院は、日本老年精神医学会、日本認知症学会の研修施設です。日本老年精神医学会指導医6名、日本認知症学会指導医1名が在籍しております(2016年9月現在)。認知症の専門医を目指す方は、老年精神医学会または認知症学会の専門医を取得することをお勧めしております。専門医取得のための研修やレポートの作成、学会発表などの準備は指導医がお手伝いします。また当院には認知症疾患医療センターや認知症初期集中チームが設置されていますので、認知症診療について、初期の介入から診断や治療、地域との連携について学ぶことができます。

児童精神医学に興味があるのですが。

当院には児童精神医学専門外来がないため、思春期の症例は多くはありません。しかし精神保健指定医を取得するために必要な児童思春期症例を経験することは十分可能です。一方で、大人の広汎性発達障害や注意欠陥多動性障害の患者さんをみる機会は多く、当院で精神科一般の研修、精神科救急を経験した後に、児童精神医学の勉強をするために別の医療機関で働いている先生もいます。

精神科への転科を考えています。

大歓迎です。これまでにも内科や救急科、リハビリテーション科などから転科してこられた先生が当院で研修を終えて、精神保健指定医や精神神経学会専門医を取得しています。当院は医局の年齢層が若いためか、医局の雰囲気は非常に気さくでリラックスしています。転科された先生も、後期研修の先生同様、気軽に質問したり症例についてディスカッションしたりしながら精神科研修をすることができます。

大学院への進学を考えているのですが。

当院では後期研修を終えて精神保健指定医を取得した後1年間は、精神保健指定医として精神科救急の臨床を経験していただくことを推奨しております。また、精神保健指定医取得後の1年間で、指定医としての臨床経験を積むことは非常に有意義なものと考えています。その後に、興味をもたれた分野の勉強のために別の医療機関に行かれる先生や、大学院に進学される先生もいます。(むしろこのように次のステップに進んでいる先生がほとんどです)。当院は特定の大学の医局に属しておりませんので、大学院に進学される先生は、それぞれご自分で情報を収集して大学と連絡を取り進学しています。なかには社会人大学院生として、当院で働きながら大学院での勉強をされている先生もいます。

「さわ病院は救急に力を入れている」と聞きましたが、忙しすぎて毎日大変なんじゃないですか?

レジナビの「後期臨床研修プログラム」(当院ホームページにリンクがあります)にもありますが、当院の仕事のスタイルの特徴のひとつに「オンオフをはっきりとさせる」という気風があります。就業中はもちろん忙しく仕事をしておりますが、就業時間を過ぎるとほとんどの先生が医局からいなくなっています。救急外来は外来当直医が、病棟は病棟当直医が病棟の患者さんをカバーするので、勤務時間外に連絡や呼び出しがあることはありません。お互い安心してオフの時間を過ごすことができます。
詳しくは先ほどのレジナビの「後期臨床研修プログラム」をみていただきたいのですが、当院は2年に1回のリフレッシュ休暇(7日間)を取得することができますし、有給休暇もきちんと利用して休養をとりながら仕事ができる職場です。

後期研修中や入職直後は「休み」をとりづらいといったことはないでしょうか?

当院は週 4.5 日勤務で、水曜と日曜および祝祭日、年末年始、夏期休暇が「休み」となります。その他に自身の選択で任意に「半日休み」を月に 4 から 5 回をとることができます。また、その時の医師数によりますが、 1 ヵ月間に夜間の当直が原則 4 回、休診日の日勤帯の日直が 1 から 3 回程度となります。
各医師の勤務希望は 1 ヵ月間毎に約 2 ヵ月ほど前に作成し、その際の勤務希望については役職や入職時期とは無関係に「休み」「当直」「日直」等の希望を出すことが可能で、医師数が比較的多いこともあり、そのほとんどの勤務希望を叶えることができます。外来についても予約制ですので、外来担当の曜日であっても事前に休診にすることで「休み」とすることが可能です。先に述べましたように、当院は日常業務でもそうですが、「休み」についてもフレキシブルに「オンとオフをはっきりさせる」ことが可能な気風の職場です。

沖縄の病院での研修があると聞いたのですが。

当院では、原則として沖縄県うるま市にある平和病院(http://heiwahsp.ec-net.jp/~heiwahsp/)で、半年から1年(期間は相談して決めています)の研修をお願いしています。大阪の病院に就職するのに、沖縄の病院で研修?と思われる方もおられるかもしれません。私もそうでした。ですが、実際に沖縄の病院で研修してみると、風通しがよく心地よい沖縄らしい造りの病院を回診したり、広い緑の中庭で患者さんたちが球技をして楽しんでいるのをみたり、リハビリテーションとして、生き生きとパン工場やポスティングで働く患者さんをサポートするシステムを勉強することができたのは、予想をはるかに超えた研修と人生経験でした。休日には天気のよい沖縄をドライブしたり、沖縄の食べ物やお酒を楽しんだりしたのもよい思い出です。ひとつの病院に所属していながら、給与面などの待遇がかわることなく安心して沖縄という臨床研修が充実した地域で働く経験ができることはお得なことかとも思いました。沖縄での住居や移動にかかる費用については負担の必要はありませんので、身の回りのものだけを送るだけで沖縄での生活の準備を整えることもできます。

精神科救急病院で当直がつとまるか心配です。

当院では精神保健指定医が、外来当直として夜間休日の救急患者さんの診察を担当します。後期研修の先生には、病棟当直医として院内の患者さんの対応をお願いしています。したがって後期研修中の先生の当直の際は必ず上級医が一緒ですので、不安なことや対応に困ることがあれば、いつでも相談できます。もし興味(と余力)があれば、夜間救急患者を外来当直医師が診察したり緊急措置鑑定したりする場面に陪席することも可能です。

「学閥」や大学医局との関連などはありますか?

奈良県立医科大学や、大阪大学や大阪市立大学の医局との連携はありますが、当院はいずれの医局にも属しておりません。レジナビの「後期臨床研修プログラム」(当院ホームページにリンクがあります)からみていただくと、当院所属の医師の出身大学が掲載されています。ご覧のようにいろいろな大学出身者が集まった医局です。特に出身大学による区別はありません。

病院見学会の日程と都合が合わないのですが。

病院見学会の日程とご都合が合わない先生には、個別に日程調整して病院見学にお出でいただいています。どうしても都合が悪くて休日に来られた先生もおられますし、短時間の見学で帰られる方も、ついでに病院の当直を見学していかれる方もおられます。当直見学を希望される先生には、食事やベッドをご用意します。

さわ病院を見学してみたいのですが、前期研修の1年目/医学生なので見学会に応募できないですよね?

就職とは関係なく、当院や精神科救急に興味をもってくださって見学を希望される1年目の先生や医学生の見学にも対応しています。これまでにも医学部の5年生や6年生の病院見学(当直を見学された方もおられました)を受け入れております。遠方から来られ複数日研修したいと思う方には宿泊先をご用意することもできます。ぜひお問い合わせください。

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